2018年6月に誕生した新しい出版社、水窓出版(すいそうしゅっぱん)から刊行される記念すべき第一冊目、三木卓 著『ミッドワイフの家』のブックデザインを担当しました。装画は『文學界』表紙イラストを手掛けられている柳智之さん。
『ミッドワイフの家』は、鋭敏な〈性〉の衝動にもがく男性が主人公の三篇の物語です。性のエネルギーが痙攣し昇華するような、美しい装幀にしたいと思いました。カバーは柳智之さんの線画に沿うように金箔・箔押しで、震える線が所々輝いています。
柳智之さんには、登場人物の心情のような震える線で素晴らしい装画を描いて頂きました。表紙は明暗を反転印刷することで、まるで素粒子のような図像に。
主人公の時に歪な性衝動と世界観を表現するため、違和感を感じるような本文組みルールをあえて作りました。造本はカバー/帯/表紙/見返し/別帖扉に、本来は本文を印刷する用紙を装幀に使用し、文学作品としての佇まいに貢献しています。新しい出版社の第一冊にふさわしい特徴的な本になったと思います。
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